1935

トラベルブームの
コンパクト

車や船の普及により、世界旅行がトレンドになった時代。
旅行先の風景がデザインされたり、乗船記念として作られたり、旅行バッグがモチーフになったり。
万博も注目度高く、異国情緒漂うオリエンタルなデザインが特徴です。

赤いスーツケース

1930年代アメリカブラス,エナメル

楽しいスーツケースデザインのコンパクト。1930年代の旅行ブームでは、名所のステッカーを貼ったスーツケースがステイタスになり、それをそっくり真似て作られています。貼られているのは「MIAMI」「HAWAII」「BERMUDA」という当時のアメリカで話題の観光地、そして世界一周を経験したことのある「Great White Fleet」(白船・アメリカ海軍の大艦隊)です。裏にはSTATLER HOTELSのマップ、ホテルの宣伝として作られたのでしょう。

青いスーツケース

1930年代アメリカブラス,エナメル

旅行ブームが背景となって作られたスーツケースデザインのコンパクト。当時の旅行鞄そっくりに、革バンドや角の補強デザインがブラスで再現されています。表には「HAVANA」「ROMA」「BERMUDA」、裏には「MIAMI」「LURAY(VIRGINIA州)」「Great White fleet」のステッカーが貼られています。当時人気だった観光地と使用された船がわかります。バッグの取っ手を倒して開ける仕組みになっていて、今でもルースパウダーとピンク色のチークが残っています。

黒いスーツケース

1930年代アメリカブラス

たくさんのステッカーが貼られた、スーツケースコンパクトの1つ。「PARIS」「SALZBURG」「ROMA」「BUDAPEST」「LONDON」「MONTECARLO」「PRAHA」・・・ヨーロッパの主要な都市が多く、各土地を廻る活発な女性をイメージして作られたものでしょう。バッグのデザインもスタイリッシュです。
RMS船会社QUEEN MARY号のギフトショップで扱われた商品です。

レザースーツケース

1930年代アメリカ革,ブラス

本物の革を使ったスーツケースのミニチュアコンパクト。旅行ブームの際に、ステッカーを貼ったスーツケースのコンパクトが多数作られましたが、中でも珍しい革製の作品です。貼られたステッカーは「MEXICO」「PARIS」そして1960年前までは有名な観光地であった「HAVANA」(CUBA)です。人気の3都市を巡ったかのような、持っているだけで楽しいコンパクトです。

緑のスーツケース

1932年アメリカブラス,エナメル

スーツケースコンパクトの中では珍しく、ステッカーに三角形の大学のペナントが描かれています。「FORDHAM」「TULANE」「N.Y.U.」「VASSAR」裏には「CALIFORNIA」「PENN STATE」そして「HARVARD」・・・・憧れの一流大学ばかりです。インターカレッジで活躍している学生をイメージして作られたのでしょうか。このタイプは大学のBOOK&GIFTで売られていたと伝えられています。

RMS SCYTHIA

1920年代イギリスクロム合金,蝶の羽

「RMS SCYTHIA」船のお土産として売られていたもので、20年代に作られたイギリス製船シリーズの1つです。海の表現にセルロイドと蝶の羽が使われ、海に浮かぶ船を巧みに表現してます。中身のパウダーシフターも珍しい形で、金属を押し下げるようにして使用するタイプのものが採用されています。

S.S.BRITANNIA

1920年代イギリスブラス,蝶の羽

アンカーライン社(ANCHOR LINE)の船「ブリタニカ」のお土産として作られたもので、船シリーズの1つです。船の背景が海のように碧から蒼に偏光するのは、本物の蝶の羽を使用しているためです。イギリスとブラジルでよく使われた手法です。世界旅行ブームが花咲く先駆けに、1920年代に作られた希少な逸品です。

T.S.S. STRATHNAVER

1932年イギリスブラス,蝶の羽

オーシャンライナーの記念コンパクト。この船は、客船として造船された後、第2次世界大戦で軍船となり、戦後に旅客用として復活した歴史を持ちます。船名は「STRATHNAVER」、イギリスの肥よくな大地を流れる河の流域を指す言葉で、古来から伝わる州の名前でもあります。このコンパクトは、空と海の表現に蝶の羽が使われているため、光の角度で蒼から碧へ偏光します。収蔵品の中でも偏光が特に美しいコンディションの良い品です。

RMS QUEEN ELIZABETH

1940年イギリスブラス,プラスティック

女王の名前を冠した船、クイーンエリザベス号をモチーフにしています。映画「007」にも登場したこの船は1940年にキュナード汽船会社によって造られ、当時最大の大きさを誇り、それは48年間破られることのない記録でした。軍用としての兵員輸送船から旅客用として大西洋を渡る遠洋定期船へと時代を経て幅広く活躍しました。最後はSeawise大学へと姿を変える最中に火災で香港の港に沈みました。船旅のお土産として、喜ばれた一品です。

RMS MEDIA

1938年〜1939年イギリスブラス,プラスティック

イギリスのオーシャンライナー、メディア号の記念コンパクト。シルクスクリーンプリントを使った絵付けです。船名の前に冠するRMSとは郵便物の輸送に用いられる船につけられるRoyal Mail Shipの略称であり、これを冠することは大変名誉なことです。当時の大切な情報や荷物、そして要人を乗せた船のお土産として喜ばれました。

MV ACCRA

1938年〜1940年イギリスブラス,プラスティック

イギリスのオーシャンライナーをモチーフにしたコンパクトの1つ。「アクラ」号がモチーフになっています。ブラスとプラスティックの間にアニメーションフィルムのように描かれた船の絵をはさむという、STRATTON社得意の手法で作られています。透明なフィルムが、水の上に浮かぶ船をモチーフとしたコンパクトにふさわしい表現です。

リオ

1920年代後半ブラジルクロム合金,蝶の羽

RIOの美しい自然風景を本物の蝶の羽と影絵を使って表現しているコンパクト。海と空が光って見えるのは、光の加減で羽が偏光しているからです。海には青から緑へ、空には青から紫へ偏光する羽を使用した巧みさに驚かされます。中には、少し黄みがかったプレストパウダーが入っていて、日に焼けた肌に使っていたのではと想像させます。自然の美しさが見直され、旅行ブームに火が付き始めた時期に作られた、世界に1つだけのコンパクトです。

ペインティングマラカイト

1930年代イタリアエナメル,合金

目の覚めるようなグリーンと金のコントラストが鮮やかなイタリアのコンパクト。マラカイトに見える天面は、ハンドペイントで描かれたイミテーションストーンです。鉱物の乏しいヨーロッパならではの精巧な技術に驚かされます。フレームの金色の透かし彫りや、ローズカットされたラインストーンが輝く王冠が豪華な印象のコンパクトです。

HUNTING

1930年代アメリカブラス,メタル,エナメル

カラフルに着飾った18世紀ごろのハンターと犬をモチーフにした、VOLUPTE社のぺルシアンコンパクトの中の1つ。繊細な絵柄をブラスの凹凸と白のエナメルにより浮き立たせ、セルリアンブルーや赤のエナメルで際立たせた人や動物の表現が特徴です。これは初期ペルシャのビザンチンミニアチュールペインティングから影響を受けていると考えられています。

PERSIAN RUG

1933年アメリカブラス,エナメル

VOLUPTE社のペルシアンスタイルコンパクトの1つ。ペルシャ絨毯のような、細かい絵柄、そして鮮やかな色使いが印象的です。初期ペルシャのビザンチンミニアチュールペインティング(微細画)からの影響を受けています。同じデザインのものが数年に渡り作られ続けたことが分かっており、天面は同じながらも中身の仕様が変化したものをもう1点収蔵しています。

BYZANTINE RUG

1935年〜1936年アメリカブラス,エナメル

VOLUPTE社のペルシアンスタイルコンパクトの中の1つ。側面から裏面まで行き届いた絵柄の見事さが特徴です。描かれているのは「象」「孔雀」を中心に、様々な鳥が色鮮やかに表現されています。これは数年にわたり作り続けられた人気のあるデザインで、同じ天面のコンパクトをもう1つ収蔵しています。中身のパウダー入れの形はそれぞれ違いがあり、これは円形のパウダードアのないタイプです。

エデンの園

1933年〜1934年アメリカメタル

VOLUPTE社のペルシアンスタイルコンパクトの1つ。旧約聖書・創世記の「エデンの園」をモチーフにしています。中央にアダムとイブ、そし知恵の樹。周りには大小の動物が生き生きと彫られています。イブが知恵の樹の実を食べてから、女性の美への意識が目覚め、化粧が誕生し、このコンパクトの文化へと繋がっている不思議さを感じる作品です。

PERSIAN BIG COMPACT

1937年アメリカブラス,エナメル

VOLUPTE社のペルシアンスタイルコンパクトの中の1つ。その中でも一番大きいもので、96mm平方に作られています。この微細画スタイルは初期ペルシャのビザンチンミニアチュールペインティングから発祥したもので、当時の西欧諸国でファッションとしてもてはやされました。一連のシリーズに共通するのは微細な柄と、側面から裏面まで彫られた絵柄の見事さです。

フラワーガーデン コンパクト

1937年〜1939年アメリカブラス,エナメル

有名なフローラルの香水を出していた「MARY DUNHILL」社製のコンパクト。フローラルガーデンが華やかな色で表現された楽しいデザインです。オリエンタルデザインの影響も見られます。おそろいのデザインのリップスティックも現存しています。アクセサリーをそろえるのは女性にとっての楽しみの1つ。当時もペアで持てるように提案されていたのです。

フローラルガーデン リップスティック

1937年〜1939年アメリカブラス

華やかなコーラルレッドの口紅が中に現存するリップケース。おそろいのコンパクトとともに、香水から影響を受けてデザインされたと考えられています。当時はコンパクトと同様に、口紅もリップケースと中身は別々に購入しました。

オーバルグリーンコンパクト

1938年アメリカエナメル,合金

淑女の小さな手にぴったりの、小ぶりなコンパクト。中を開くと、メタルで作られた鏡の裏にチークが隠されています。当時の雑誌でよく見かけられデザインで、女性たちが好んで使ったと考えられています。

WAFER THIN

1938年アメリカブラス,黄色人造宝石

ウエハースのように薄いという名前のコンパクト。繊細な透かし彫りにパウダーカラーのエナメルが色づけされていて、薄いながらも存在感のある作品です。中央には蒼い石が嵌められ、人造宝石ながらも華やかに輝いています。

ピュアフラワー

1939年アメリカブラス,ラインストーン,エナメル

オフホワイトのエナメルに立体的なゴールドの花が現代的な印象のコンパクト。おそろいのリップケースの中には、今でも当時の赤い口紅が残っています。2つを一緒に持ち運ぶことのできるケースが付属していることも特徴の1つで、キャリオール(たくさんの機能がついたコンパクト)の前身です。

翡翠

1935年〜1936年アメリカクロム合金,翡翠

翡翠を中央に配したオリエンタルなデザインで、バックの形を模しているようにもみえます。中にはシガレットを入れることができ、チークとパウダーは天面の開きに付随している多機能コンパクトです。

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