~1910's

小さく隠れる
コンパクト

コンパクトが登場したアールヌーボーの時代。
ファッションが変化し、女性が外出する機会が増え、化粧の文化が定着し始めました。コンパクト誕生の初期は人前での化粧直しがタブーだったため、小さく目立たない大きさや隠れたデザイン(ネックレスやステッキなど)が多く作られました。
やわらかく女性らしいフォルムが特徴です。

ヤドリギ

1900年フランス

アールヌーボー様式の典型的なモチーフ、「宿り木」がデザインされています。宿り木の下で永遠の愛が約束されるという言い伝えは、西欧の中ではロマンティックで神聖なテーマです。それが1900年前後の時代に流行したのは、政治や経済、文化が激動の時代にあり、さまざまな変化が押し寄せていたからでしょうか。チェーンを通す金具がついているのでペンダントとして胸に下げ、お守りとしていたのかもしれません。

帝政ロシアのメッシュバックコンパクト

1885年帝政ロシア

帝政ロシア時代の貴族が所有していたメッシュバックで、蓋の部分の裏が白粉入れになっています。
留め金の部分にはサファイヤが施され、金メッキのシルバー部分やエナメル仕上げの蓋に施された模様は高度な技術を要する、美術的価値の高いコンパクトです。メッシュバックには舞踏会のチケットが入れられたのでしょうか。革命で多くの美術品が失われる前の、美しい作品です。

フェミニンヴァニティ

1910年代アメリカ

コンパクトが作られ始めた初期に特徴的な貴金属を贅沢に使用した作品です。銀製で内側には鮮やかなグリーンの布地が張られており、白粉、チーク、口紅、爪やすり、香水のかわいらしい容器が配され、そのほかにも物が入れられるようになっています。ハンドメイドのチェーンは細長い楕円形をしており、華奢な印象に見せながらも強度のあるもので、少し重みのあるこのヴァニティを持ち歩くことができるようにしています。

ミニ・シャトレーヌ

1910年〜1920年代アメリカ

シャトレーヌ(女城主)とは中世の時代に戦いにいく男性が妻に城の鍵を預け、その女性がたくさんの鍵を腰につけるための装身具を指します。
それをデザインのヒントにしたこのコンパクトは、ピン飾りに香水、コンパクト、ペンが垂れ下がっています。

ホワイトガーデン

1915年〜1917年アメリカ純銀,エナメル

銀で作られた小ぶりなコンパクトに、ホワイトエナメルとブルーの小花をハンドペイントしてあります。コンパクトが一般に使われるようになり始めたころの優雅な雰囲気を持っています。シルバーのフィンガーリングを指に通して踊ったのでしょうか、当時の華やかさを感じる逸品です。

エナメルコンパクト(アイスブルー)

1918年〜1921年デンマーク純銀,エナメル

美しく繊細な銀の細工とエナメリング加工が施されたコンパクトです。デンマーク謹製のものは珍しく、貴重です。首元の美しさが際立つ氷河を思わせるブルーのエナメルは、発色させるのが難しいと言われています。

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